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2013年6月17日月曜日

ミンダナオ島、平和教育事例紹介:Peace Village Residential Experience(平和村居住体験)(3)

[プログラムの内容]
Shower of Pace(平和のシャワー)
 子どもたちに印象深かったプログラムを挙げてもらうと、このプログラムを上げる子どもたちが多かったです。4日間のキャンプは、このプログラムから始まります。どこからともなく放水車がやってきて、子どもたちがそれを浴びるという、驚きの集団朝シャワーです。これがプログラムとされ、平和のシャワーと冠する理由は、水は多くの宗教で汚れを荒い流すとされているためと言います。あらゆる偏見や怒りなどを洗い流して新たに一日を始めることを説明されます。4日間は皆でシャワーをしますが、自宅に帰ってからもそう言った気持ちで朝のシャワーを浴びるようにといったアドバイスを受けます。
 元々は、平和村の水がキャンプ開催中に故障したため、放水車を呼んだそうです。放水中にホースから水が漏れて回りに向けて噴射し始めると、子どもたちが喜んで駆け寄って、楽しんでいたそうです。その様子を見て、以降は意図的に放水車の水を用いてシャワーを浴びるようにしたといいます。

 日本人からすると中々刺激的な始まりですが、 子どもたちが笑顔で駆け回る中、朝日に放水車からの水が反射して虹が現れ、美しく印象的なプログラムでした。

Peace Parade(平和パレード)
平和村で重要な要素は、子どもたちが楽しい思い出と平和のコンセプトを結びつけて思い出せる
こと。地域の高校や、小学校、先生たちも仮装して、パレードをします。事のほか先生が忙しい合間を楽しめる行事のようにも見えました(笑)けど、先生が楽しむのも大切ですよね。 


KIDs say no to gun(暴力への否定)
説明を追加
子どもたちにこれまでクリスマスや誕生日にもらったおもちゃの銃を持ってきてもらい、それをフィリピン政府軍の人が渡す苗木と交換します。命を破壊する象徴である銃を命の象徴である苗木を交換し、平和を植えるということを象徴的に行います。
集めた銃は、皆で破壊します。子ども版のDDRのDisarmament(武装解除)のような様相です。

 フィリピン政府軍に関わってもらったというのは非常に重要だと思います。彼らの途中で行なったレクチャーや彼らの環境に対する取り組みは、セキュリティの問題も織り交ぜながら説明するため、子どもたちには難しすぎ、レクチャーから学びづらかったのは残念でしたが、ユニフォームを着た彼らがセレモニーに参加するというのは子どもたちに良い意味での緊張を与え、よかったのではと思います。
 
 同日夜の式典の後は、政府軍の中のバンドが教員向けライブを開催していました。彼らもお祭りモードを彼らなりに楽しんでいたようです。

Pledge to Peace(平和の誓)
 KIDs say no to gunの後は、皆で暴力行為を否定し平和を作る担い手になることを誓う、手形を押すセレモニーがあります。彼らが各地域で、平和なコミュニティを作る担い手となって欲しいと願うばかりです。

Meditation(瞑想)
 タイのNGOが来て、特に教員に対して瞑想のトレーニングを行いました。先日書いたとおり、先生もそして子どもたちも瞑想を行っているため、初めてではないものの、今まではインターネットを通じて行っていたものを僧侶の直接の指導を受けて行うというのは初めての試みであったようです。
 
 後日談ですが、今まで子どもたちはインターネットを通じて僧侶から指導を受け、その姿を見ていました。しかし、本物の僧侶の登場に驚きと興奮で、僧侶(外国ではジョンと名乗っているそうです)が歩くと子どもたちがついてまわるという現象がおこったそうです。子どもたちとはいってもタイの僧侶は女(の子)と接触しては行けません。その理由を聞いた数名の男の子がボディーガードをかって出たと言います。

[感じたこと]
 プログラムの意義付も重要ですが、教育省トップを含め教員が子どもたちが楽しい思い出を作って帰れるように気遣っていたように感じられました。

外国人が訪れた珍しさから、ラジオ番組に出演することに
こういうパターンって多い気がする(^^;
この平和村のキャンプと並行して、リージョンの代表教員を集めて平和教育を進めていくための研修が行われていました。子どもたちへのインタビューやプログラムへの参加で忙しくしていたためそちらの方に中々顔を出すことができなかったのが悔やまれますが、子どもたちのみならず教員にトップダウンの形で研修が行われているというのは効果的であると思われました。

 また、平和教育などのプログラムも大切ですが、学校の勉強も怠れない、また教員の質も上げなければならないという課題があったそうですが、子どもたちの学校の出席率とリージョン全体の成績が上がったといいます。成績上昇の明確な理由は不明ですが、教育省のトップがそこにも意識を払っていたようです。


 このプログラムを精力的に勧めていた教育省トップが昨年で定年となってしまいました。悲しいことに、トップが音頭をとって勧めていたことは次期のトップでは継続されないことが往々にしてあります。その理由は、内部政治であったり、ライバル意識など人間関係に関わることが原因であると聞きます。また、こうしたプログラムは更なる人的又は予算の投入が必要であるため、熱意も重要な要素です。

 継続を望み、プログラムの中のセレモニーでは州知事を呼び、州知事に象徴的な鍵を渡すというセレモニーも行われました。一部からは、平和村キャンプが政治化したと非難される一つの理由となったようですが、存続をかけての可能なことは在任中に行っておきたいというトップの意思表示のように思われました。公的な場で約束したこと、平和村キャンプをサポートする-という知事の約束は参加した学生、教員、教育省のスタッフや私などの部外者なども聞いた訳で、これをあっけなく反故にはできないと教育省の当時のトップは踏んでいたと思います。

 平和村が良いのは教育省が教員を研修に送ったり、専門家を呼んだりしながら外の助けを借りながらも、自らの責任でプログラムを行っていることがとても重要なポイントだと思いました。
 これまでいくつかの地域で、外部の助けでマニュアルまで制作したものの使われないまま本棚で埃をかぶっているという話や、研修には出たけど現場レベルでの実施に至っていないという話をしばしば耳にします。そういう話は非常にセンシティブな問題で、たまたま知り合いが勤務する政府系組織で、ミンダナオ島の平和教育プログラムを作成したといわれるものの、活用されていませんでした。そういう彼らに事実であっても「マニュアルが使われていない」と言ってしまえば、角が立ちます。しかし、彼らの作ったプログラムの話しは現場レベルでは一度だって聞いたことがなかったのが事実。(部外者として、そこは議論を争いません。)

[学んだこと]
 先日紹介したPeaceTechは大学生や社会人向けであったため組み砕きつつも理論的な説明を要所要所にお織り交ぜながら、ワークショップで深い理解を促しつつも知識的理解を参加者に要求しました。しかし、この平和村のキャンプでは、子どもたちが体験をベースに、より感性的にな学びを平和のイメージと結びつけることにポイントが置かれていたように思います。勿論、それらの体験から子どもたちは自らの言葉から経験を語り、語る中で学んだことの言語化が行われていたように思います。アプローチ、雰囲気作り、プログラムの構成、そして元気いっぱいの子どもたちを飽きさせない仕組みが随所に見られ、今後プログラムを作る際の参考となりました。
 
 
 
 
 

 

 


 





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