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2013年8月6日火曜日

若手ムスリムによるボランティア・NGO活動

 フィリピンでは、残念ながらまだムスリムに対する差別や偏見などがあるようです。勿論、ムスリムに限らず、少数民族に対する差別もいまだ存在しますが、夫の研究の関係で主にムスリムの人たちの首都圏の暮らしに触れる機会がありました。学生寮では、ムスリムと名前などからわかると入居を断られたり、タクシーの乗車を拒否されたり(マニラだと、ムスリムでなくてもドライバーの都合で乗車拒否ということがしばしありますが!)、就職でも有利ではないという話をしばし聞きます。

 差別、偏見故に彼らの存在は、特にカトリックが多数を占めるマニラでは影が薄いのかと思いきや、そうした事情がありつつも非常に活発に活動するムスリムの若者たちがいます。彼らによって立ちあげられたグループのいくつかに出会いましたがそのひとつ、GroupAid。基本的にはNGOをサポートするNGOです。サポートの内容は、開発プロジェクトのためのアドミニストレーション機能強化のためのコンサルタント、アドボカシ‐(提言活動)のためのネットワーク推進、教育的活動の企画・立案・実行など、サポート事業にとどまらず、自らもプロジェクトを実施している団体です。

 出会いはFacebookで、私の旦那がムスリムの人たちを研究のためにインタビューしていく中で、出会いました。コアのメンバーたちは、ムスリムの若手で様々な分野で活躍する人たちをつなげる、Young Moro Professionals Networkという団体に所属しており、積極的な提言活動、とくにムスリムミンダナオ地域での和平プロセスに対して強い関心を示し、時あらば政治家や関係者を招いてのディスカッションなども行い、参加させてもらったことがあります。


 GroupAidの彼らのオフィスを訪問し、オープンなメンバーたちにすっかり居心地がよくなってしまった私たち夫婦は毎週金曜日に彼らのオフィス(あるメンバーの自宅)で行われるムスリムの人たちのためのコーラン勉強会などに参加させてもらいました。コーランの勉強会は、GroupAidのオフィスで行われていましたが、GroupAidの加盟団体の一つであるNurFactoryが主催していました。イスラム教徒としての成長を促す企画・勉強会などを企画・実施し、さらにボランティア活動も行っています。彼らの勉強会に参加し、ディスカッションを通じ、また飲み食いを共にしながら、本で読んで知る以上に実際の彼らの宗教的慣習の一部に触れ、雰囲気を多少なりとも感じることが出来ました。毎週金曜日の勉強会は、団体の活動そのものというわけではありませんが、学びが多いものでした。

子どもたちとゲームを楽しむ若手ムスリムボランティアたち
コアメンバーの女性は、自分の自宅を開放し、ムスリム女子を呼び泊りながら夏合宿のようなものを催したり、断食明けの催しであるイド・アル=フィトルにも招待してもらったことがあり、子牛一頭の丸焼きや、ごちそう、皆で祝うそのムードにコミュニティの温かさを感じました。ちなみに昨年は、イド・アル=フィトルはフィリピンのアクション俳優、ロビン=パディリアの自宅で行われ、ミーハーな私は、一緒に写真をとってもらい、はしゃいでしまいました(汗)

 現在はコアのメンバーの1人はARMM(ムスリム自治区)の知事の推薦を受け、ミンダナオ島、コタバト市にあるARMMのオフィスで働いています。また、他のメンバーも政府系の機関で働いており、それらのネットワークを生かしながら、積極的に提言活動を行っているようで、今後の彼らの団体と何らかの形で関わり、活動できる日をここオランダで楽しみにしています。

 

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