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2016年9月5日月曜日

フィリピン、テロとの戦い-ダバオナイトマーケット爆破事件

フィリピンでは、ドゥテルテ政権の下、2つの戦争―ドラッグとの戦い&テロとの戦いが進行中です。先日のダバオ市の爆破事件は、特に比政府のテロとの戦いを激化させました。これらの闘いに勝利はあるのでしょうか。

Davao crocodile park
ダバオ市のワニ園にて撮影 2009年


テロとの戦い
アブサヤフによる未成年者の斬首事件
アブサヤフは、フィリピンそしてアメリカでもテロに指定される団体で、フィリピン南部のホロ島やバシラン島などのスールー諸島及びミンダナオ島のサンボアンガ半島などを拠点で活動していおり、近年は組織的誘拐(誘拐ビジネス)によりその活動資金を得ている。先月末、誘拐された未成年者がアブサヤフの手により斬首されました。それを機にミンダナオのスルー州で大規模な掃討作戦を行っています。

ダバオのナイトマーケットの爆破
フィリピン、大統領が長年市政を務め、現在は大統領の娘が市長を務めるダバオ市で9月2日金曜日の夜ナイトマーケットで爆発事故が起こり14名が死亡、67名が負傷するという事件が起こりました。

(C) APF ダバオ事件後の様子



無法状態宣言(State of Lawlessness)
事件後、外国人誘拐事件を繰り返す、アブサヤフが犯行声明をだしました。これに対して、ドゥテルテ大統領はフィリピン全土に無法状態宣言(State of Lawlessness) を発令しました。2003年に全体大統領グロリア・マガパカル・アロヨがダバオ市限定に発令しました。これは、以前マルコス政権時代に発令した厳戒令は異なります。

**無法状態宣言(State of Lawlessness)って何?
1987年憲法で、大統領は無法な暴力を防止あるいは抑圧するために軍を招集することが許されています。
18項、7条で、フィリピン共和国大統領は、必要があればフィリピン国軍の指揮官となるとされます。大統領は軍を招集し、無法な暴力、侵略、反乱を防止し抑圧するであろうと記されています。

大統領の非常事態や国家の危機的状況に対する措置は3つの段階があります。まずは今回の措置、その上の段階は権力は、国民としての特権である人身保護礼状を一時時にさし止めし、裁判を経ずに捉え収監することが許されるようになります。最終段階が厳戒令です。

無法状態宣言(State of Lawlessness)とは具体的にどういうことなのか。
チェックポイントを増やし自動車やバイクの検問を実施、軍はその基地を離れて外でパトロールをすることになり、一般国民の目に多く触れることになります。
ミンダナオは例外的に軍人を高速道路沿いでよく目にしますが、私が生活していたビコール地方では勿論、他の地域では見られない光景です。また、夜間外出禁止も場所によっては指定されると思われます。

大統領ならやりかねないと思いつつ、私はこの措置にかなり驚きました。ダバオやミンダナオだけであるならまだしもフィリピン全国、無法状態宣言(State of Lawlessness) は行き過ぎた措置なのではないでしょうか?まず、行き過ぎた警戒で、返ってテロリストたちへの過剰反応であると見られてしまい、宣言の発令が投資に影響すると考えられるためです。

「処刑OK?ドゥテルテ大統領の過激な麻薬対策」

今後、厳戒令にまで引き上げるとは思いませんが、テロとドラッグ問題は重複すると警察庁長官が発言し出し、より暴力が公に許されてしまうことが懸念されます。アブサヤフが犯行声明をだしているものの、政権の就任以来の過激な麻薬対策+超法規的殺害に対する反応とも見られているためです。テロリストと麻薬王が重複する?あるいは協力体制にある?と。

しかし、そうだとしたら政権の用いた暴力に対する「暴力」での応酬とも見られます。一部国民および在比外国人はこれで治安がよくなると大統領を支持しますが、フィリピンは一部暴力がはびこる地域があっても法治国家であるということ、そして過激な政策には報復として過激な反応(カウンター)があるということを忘れてはいけません。

また、憲法により明記されているこの大統領が有する権利、行使が適切であるのか、国民は常に目を光らせておかねばなりません。



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